2006/05/18
■[P2P]ISPによるWinny遮断に対する、総務省のまっとうな見解
ISPによるWinnyトラフィックの遮断について、本日、総務省から以下のような見解が出されました。
Winny通信遮断は違法(NHKニュース)http://www3.nhk.or.jp/news/2006/05/18/d20060518000007.html(もう消えてます)
ところが、これについて総務省は、「Winnyによる信号かどうか調べる際にプロバイダーは通信の中身を一部解読することになり、『秘密の保護』を定めた電気通信事業法に違反する」と判断しました。これを受けて「ぷららネットワークス」側は通信を遮断する措置を中止することになりました。総務省では、「Winnyの対策は重要だが、今回の措置は法律に触れる行き過ぎた行為で認めるわけにはいかない」と話しています。
このニュースは、NHKが初出だったようです。Shareの時*1もそうでしたけど、NHKのおはよう日本はP2P関係のニュースを取り上げるのが妙に早いですよね……。
僕は以前から、ISPによる強制的なWinnyトラフィックの規制に反対だったので、このような見解が出たこと自体はとても嬉しいです(参考:ネットワーク技術の発展を阻害するのは警察か、それともISPか?)。
で、ISPによる規制が止められたこと自体は確かに嬉しいんですけど、その一方で、総務省がこのような見解を出す事になった背景には正直よく分からないところがあります。とりあえず、現時点で出ている関連記事を漁ってみました。
- 本日の「Winny」通信規制に関する一部報道について(ぷららネットワークスのニュースリリース)
- ぷららのWinny規制は「違法」と総務省(ITmedia)
- Winny通信の遮断は「通信の秘密」を侵害−−総務省判断をぷららが受け入れ(ITpro)
- ISPによる「Winny」通信の遮断は「行き過ぎ」、総務省が違法性を指摘(INTERNET Watch)
- Winny遮断に国が「待った」(スラッシュドット ジャパン)
ニュースサイト毎に多少内容が揺れていますが、この中ではINTERNET Watchの記事の追記部分にある総務省のコメントが、背景の説明として一番納得できる内容でした。以下引用。
総務省総合通信基盤局消費者行政課によれば、業務上必要となる「正当な業務」であれば問題ないと説明する。ファイル交換ソフトによる通信で帯域が占有されることがISPのサービスに支障を来たしていることから、その対策としての帯域制限は「正当な業務」にあたるとの判断だ。しかし、完全に通信を遮断するような措置になると、正当な業務の範囲からは外れる「過大」な措置と判断した。
Winnyなどの通信に対する帯域制限は、ぷららを含め、いくつかのISPで導入しているが、総務省では、帯域制限までであれば通信の秘密に抵触しないとの見解だという。
要するに「Winnyの規制って基本的には通信の秘密を侵害してるよね。まあ、ネットワークを維持するために必要な程度ならやっても構わないけど」という意思表示なんでしょうか。
以前、ここの日記でISPのワーム対策に対する考え方を紹介しましたが、今回の総務省による見解はそれ(「ネットワークを維持するためにはフィルタも致し方ない」という考え方)と非常に近いような気がします。総務省の方にもネットワークオペレータと同じような考え方を持った人が居る、ということなのでしょうか……。
正直、この見解だけを見ると非常にまっとうなので、ついつい裏を疑いたくなってしまうのですけど、考えすぎですかね。うーん。
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