無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

吉澤です。このサイトではIPv6やP2Pなどの通信技術から、SNSやナレッジマネジメントなどの理論まで、広い意味での「ネットワーク」に関する話題を扱っていたのですが、はてなブログに引っ越しました
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最新 追記

2006/12/07

[P2P勉強会][P2P]P2P・DHT勉強会 in 関西の講演資料

僕は参加していないのですが、先週の日曜日(12/3)に新大阪丸ビルにてP2P・DHT勉強会が開催されました。講演スケジュールは、勉強会を主催しているTomoさん(西谷さん)のサイトで公開されてます。

P2P・DHT勉強会 in 関西(講師・時間FIX版)(Tomo's HotLine)
http://toremoro.tea-nifty.com/tomos_hotline/2006/11/p2pp2pdht_in__eec0.html

で、先頃、この勉強会の資料が以下のURLにて公開されました。

各種資料置き場
http://homepage3.nifty.com/toremoro/study/study.html

僕はまだあまりちゃんと資料を読めてないのですが……ざっと見ただけでも、かなり濃い講演が行われたことが伺えます。以下は、ざっと読んでの見どころ。

  • 前回の第2回DHT勉強会でSkip Graphが気になった人にとっては、小西さんと吉田さんのプレゼン資料が参考になりそう
  • 藤田さんのプレゼン資料の最後の方(13〜14ページ)にある「構造化オーバーレイのための実験ネットワーク」は面白そう。現在14ノード確保、11ノード稼働中とのこと
  • 上田さんの講演は、ネットワークトポロジを実測することなく、ネットワーク座標系を分散的に作成するプロトコル(?)のVivaldiについて。このネットワーク座標系がホントにトポロジに近いなら、最近ホットなアプリケーション層マルチキャストなどに今後応用されるかも?
  • 西谷さんは、プレゼン後半で加法性のあるハッシュ関数を使った文字列検索のアイディアを披露。そんなハッシュ関数があるのか、ハッシュ値を足した値が衝突しないのか等、気になる点もありますがうまくいけば面白そう

うーん。内容が面白そうなだけに、当日にどんな議論がされたのか気になります。次に関西で勉強会があるときは、旅行用に長い休みを取って行きたいなぁ。

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(2006/12/09追記)
Tomo's HotLineでP2P・DHT勉強会感想集が公開されました。


2006/12/13

[P2P]Winny開発者の金子氏有罪 → 控訴へ

「徹底抗戦する」――Winny開発者、控訴へ(ITmedia News)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/13/news061.html

Winny開発者の金子氏に、150万円の罰金刑。

有罪にされる可能性は高そうだと思っていたので、その意味では予想の範囲内だったのですが……。ただ、今回の判決の中で「金子氏は著作権侵害を蔓延させる目的でWinnyを開発した」という検察の主張が退けられたのは意外でした。

もっとも被告はウィニーの公開、提供を行う際に、ネット上における著作物のやりとりに関して、著作権侵害の状態をことさら生じさせることを企図していたわけではない。著作権制度が維持されるためにはネット上における新たなビジネスモデルを構築する必要性、可能性があることを技術者の立場として視野に入れながら、自己のプログラマーとしての新しい技術の開発という目的も持ちつつ、ウィニーの開発、公開を行っていたという側面もある。
(asahi.comの「ウィニー」裁判、判決要旨より引用)

というのも、これまでの裁判は、Winny開発が著作権侵害を意図したものかどうかが主な争点になっていたので、有罪になるとしたら当然この主張に則ったものになると思っていたからです。

これまで、検察側は「警察の取調べなどでも著作権侵害を意図していたと本人が供述している」と主張しており、その一方で弁護側は「京都府警の捜査員が『著作権侵害を蔓延させるためにWinnyを作りました』といった言葉の入った申述書の見本を作り、金子氏にそれを書き写させた」と主張してきました。

例えば、以下は結審の際に出たINTERNET Watchの記事です。前者が検察側、後者が弁護側の主張。

しかし、今回の判決を見る限り、2ちゃんねるでの「47氏」の発言や、警察の供述証書からは、金子氏が著作権侵害の意図を持っていたと立証することはできない、という判断になったようです。

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ただ、このように弁護側の主張を認める一方で、判決では、

  • 金子氏は著作権者の有する利益を侵害するであろうことを認識していたにもかかわらず、Winnyの公開、提供を継続していた
  • そのような弊害を十分知りつつも、Winnyによる新しいビジネスモデルが生まれることを期待して開発を続けたことは、独善的かつ無責任な態度で、非難は免れない

という趣旨のことを主張しており、この点で一応の罰が与えるべきと判断したようです。Winnyのようなソフトウェアを禁止する法律の無いところに、「著作権者が損害を被っている」という事実から逆算して罪状を決めた、ということでしょう。その結果、執行猶予などは付かずに150万円の罰金、という形になった、と。

どっちつかずの判決というか何というか、それなら無罪にしとけよと思うんですが……。

僕もWinnyが無害だと思っているわけではないので、今回の件を契機にして、今後同様のソフトウェアが現れることを考えて法整備をする、というような方向に進むのならまだ分かります。しかし、「結果的に悪用しかされなかったよね」という結果論に基づいてソフトウェア開発者だけに罰を与え、それ以外は放置したままという現状にはどうしても納得がいきません。

刑が軽いとはいえ、このような結果論から出た判決がまかり通るようでは、「善意で成り立つようなP2Pサービス」は日本では当分全く開発できない状況になるでしょう。リスクが高すぎて。この点で言えば、「開発者の故意」によって有罪判決が出た方が、まだ今後への影響が少なかったような気さえします。

「Winny裁判」で有罪判決、自由なソフト開発はもうできない?(@IT)
http://www.atmarkit.co.jp/news/200612/13/winny.html

金子氏と弁護団は既に上告するつもりのようです。また長い戦いになることが予想されますが、がんばって欲しいと思います。

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参考リンク集(随時更新):

過去のWinny関連日記:


2006/12/22

[gadget][位置情報]行方不明になったauのケータイと、夢のマッシュアップケータイ

■ ケータイ紛失の顛末と、EZお探しナビ

いつ無くしたのかは分からないのですが、長年使っていた赤いG'zOne TYPE-Rを無くしてしまいました。お気に入りだったのに……。

最後に使ったのが先週の土曜日だった、というのは覚えてるんですが、それからどこでどうなくしたのかがさっぱり分かりません。しかも、ケータイが無くなってたのに気付いたのは昨日だったので、もしも無くしたのが土曜日だったら既に悪用されてる可能性もあるという始末(かなり背筋が寒くなりました)。

とりあえず慌ててauお客様センター(0077-7-111)に電話して通話停止してから、「無くなったケータイがオレオレ詐欺に使われてないか」を確認しようと思って、手元のW-ZERO3から実家に電話*1

その後、自宅の洋服や鞄をひっくり返して探して、会社も探して、それでも無くて、交番に届けても見つからず、今週立ち寄った飲食店に一通り電話をかけても見つからなくて……。で、仕方がないので今日新しいケータイ(W43Sの白いやつ)を買ってきました。新しいケータイで通話料照会をしてみたところ、どうも悪用はされてなかったようで一安心です。

ところで、今回いろいろ調べていて知ったのですが、auにはケータイの現在位置をパソコンや友人のケータイから探せる「EZお探しナビ」というサービスがあるらしいです。事前に登録して月額315円を払っておくと、いざというときに利用できます。

EZお探しナビ
http://www.au.kddi.com/ezweb/service/ez_osagashi/index.html

私のケータイどこに忘れたんだろう?

ご自分のケータイを紛失してしまったとき、パソコンから検索することができます。

このサービスを申し込んでおけば、あちこち探し回る必要もなかったと思うと……事前に申し込んでおかなかったのが悔やまれます。月額315円ってのはちょっと高く見えますけど、ケータイがなくなったときの保険と考えればそれほど高くもない額だし……。

■ ケータイアプリにもマッシュアップの考え方を

いやいや、ちょっと待ってくださいよ。やっぱり高いですって。そもそも位置情報を調べるのは端末の機能なのに、なんで「携帯キャリアに」315円/月も払わなきゃならないんですか? 携帯電話がパソコンへ送るデータなんて、緯度経度を表す文字情報くらいの些細なものなのでは??

EZお探しナビ マニュアル
http://www.au.kddi.com/ezweb/service/ez_osagashi/pdf/ez_osagashi.pdf

で、気になったのでマニュアルを読んでみました。EZお探しナビの基本的な仕組みは、専用のアプリケーションをケータイに予めインストールしておくと、「お探しナビセンター」からこのアプリに接続して位置情報を取得する、というもの。やはり、位置情報を検出するのは携帯電話自身のように見えます。「お探しナビセンター」はユーザの間に立って、地図情報と、ユーザ間での認証機能を提供しているようです。

しかし、もしもケータイの上で動作するアプリケーションを自由に作れるなら、こんなサービスに頼らなくても、ケータイの紛失に対処する方法はいろいろ考えられます。

  • Google Mapsとのマッシュアップ

    • 「特定のメールアドレスからのメールを受信すると、GPS機能で緯度経度を調べて、そのメールに返信する」機能を持つケータイアプリを用意
    • 上記ケータイアプリとGoogle Mapsをマッシュアップして、お探しナビセンターと同等のサイトを作成

  • Skypeとのマッシュアップ

    • 「GPS機能で緯度経度を調べる」ケータイアプリとSkypeをマッシュアップして、ユーザが自宅にいるときにケータイが自宅になかったら警告を出す(→ 4日もケータイの紛失に気付かない、なんてアホなことがなくなる!)

  • Skypeとのマッシュアップ(その2)

    • 「電話をかけたりメールを送ると、その内容を特定のメールアドレスに送信する」機能を持つケータイアプリを用意
    • 上記ケータイアプリとSkypeをマッシュアップして、自分のケータイの利用状況をパソコン上にリアルタイム表示する(→ オレオレ詐欺に悪用されたらすぐわかる!)

……まぁ、このアイディアがどうかはともかくとして、ケータイのプログラミング環境がもっとオープンになって、電話やメールの機能までケータイアプリで制御できるようになれば、出来ることはもっと広がるはずなんだけどなぁ、という話です。

■ 真の次世代ネットワークはオープンなモバイルインターネットか?

日本の携帯電話業界では上記のような考え方は当分採用されそうにありませんけど、今のインターネットをそのままモバイルネットワークに持ち込もうという試みでは、ケータイアプリとのマッシュアップが自然と行われるようになるでしょう(こういう試みってなんか名前付いてましたっけ? モバイルインターネットだと、ただのWebアクセスのようにも聞こえるし……)。

そういう試みの例としては、Googleがカリフォルニア州で展開しているGoogle Wi-Fiやや、最近日本でも始まった無線LAN共有プロジェクトのFONがあります。また、来年3月からデータ通信サービスを開始するアイピーモバイルイー・モバイルも、既存の携帯キャリアとの差別化のために、インターネットを重視することが予想されます。

そうなると、魅力的なアプリケーションが次に生まれるネットワークは、既存キャリアが推進する次世代ネットワーク(NGN、Next Generation Network)の世界ではなくて、むしろオープンなモバイルインターネットの世界なのではないかなぁ……となんとなく思います。

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まあ、以上は僕の個人的な願望ですけどね。ともかく、おサイフケータイとか音楽ケータイとかはどうでもいいですから、もっと位置情報で遊ばせてくださいよ!>au

ていうか、僕のG'zOneは一体どこへ行ってしまったんだーーー!(涙)

*1 僕の方から電話をかけるのなんて久しぶりだったもんで、本人なのに祖母からオレオレ詐欺扱いされました。おばあちゃん……。


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