2009/01/01
■[P2P]2008年の無印吉澤と吉澤を振り返る
あけましておめでとうございます。今年も皆様よろしくお願いします。
今日の日記は、年末年始恒例の一年を振り返る日記(いわゆる反省会)です。昨年までの反省会はこちら(↓)。
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■ 2008年の無印吉澤を振り返って
振り返ってみると、昨年はブログを通しての活動がほとんど無かった1年でした。
昨年の記事数を数えてみたところ、全部で27件。中身はほとんどイベント告知でした。あと、感想を書くと言っておきながら未だに書いてないイベントや、紹介してもらった商品も結構ありました。本当に申し訳ありません……。
その一方、僕のことはさておくと、2008年は勉強会関連で知り合った方々が大きく飛躍した一年でした。思い当たるところをいくつか並べてみます。
P2P勉強会主催のTomoさんが、キャリアグレードNAT絡みでIETFへ。また、新たにSBM研究会を立ち上げ、情報処理学会の学会誌に特集記事も掲載される。
- キャリアグレードNAT - Wikipedia
- draft-nishitani-cgn-01 - Common Functions of Large Scale NAT (LSN)
- SBM研究会プレゼン資料(Tomo's Hotline)
- 第2回SBM研究会プレゼン資料(Tomo's Hotline)
- ソーシャルブックマーク研究会(SBM研究会)で個人的に興味深かったテーマ2題 (無印吉澤)
SIProp勉強会、P2P SIP勉強会などを主催する今村さんが、2008年春頃からAndroid(GoogleのケータイOS)絡みで積極的に活動開始。9月には、新たに発足された「日本Androidの会」の事務局長に就任。ちなみに会長は丸山不二夫先生。
P2P SIP勉強会の技術的中核メンバ(吉田さん、首藤さん、大西さんら)がNwGN(新世代ネットワーク)関係でも活発に活動。「広域センサネットワークとオーバレイネットワークに関するワークショップ」開始。また、首藤さんが東工大准教授に就任。
- 広域センサネットワークとオーバレイネットワークに関するワークショップ
- 第2回 広域センサネットワークとオーバレイネットワークに関するワークショップ
- Shudo's Notes (2008/12/1の日記)
2008年6月にMIAU法人化。各種パブリックコメントの提出やシンポジウムの開催を続け、団体としての活動が軌道に乗る。
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■ 2008年の吉澤を振り返って
昨年は、仕事の変化が大きい一年でした。
まず、4月には今までと全く違う部署に異動になり、今まで全く勉強していなかった技術分野に手を出すことになりました。その上、10月からはその部署のサブリーダ的な立場になってしまい、振り返って見ると一年中ブツブツ愚痴りながら右往左往していたような気がします……。年末になって、ようやく色々なことが落ち着いてきた感じがするので、来年はそれなりに成果を出したいところですがどうなることやら。2009年は勝負の年になりそうです。
ところで、昨年の年末に立てた「2008年の抱負」は、以下の3つでした。
- 1. 週一以上は日記を更新する
- 2. Ruby on Railsの最新情報を追って、LinearNoteを追従させる
- 3. TOEIC 750点到達
1は(上で触れたとおり)年間27件しか日記を書いてなかったので未達成。2は、6月頃にほんのちょっとだけRails 2系のソースコードをいじってみたりはしたんですが、LinearNoteの更新は全然出来なかったので未達成。プログラミングも含めて、余暇を使ってどうやって勉強するかと、それをどうやって外に出せる形にするかは今後も課題になりそうです。
3は、4月までGabaに通っていたこともあって無事に達成できました。ただ、実際に800点を超えて分かりましたけど、このスコアって大して意味は無いですね。相変わらず英語はそんなに聞き取れないし、人とそんなに会話できるわけでもなし……。
TOEICスコアの詳細は、以下のような感じでした。Gabaに行かなくなってからも、リスニングの練習はiKnowやESL Podcastである程度やってたんですが、英文はあまり読んでなかったせいかReadingのスコアが下がってきてるのが気になるところです。
実施年月 | Listening | Reading | Total |
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2006年12月 | 285 | 395 | 680 |
2007年12月 | 350 | 460 | 810 |
2008年3月 | 390 | 440 | 830 |
2008年12月 | 400 | 415 | 815 |
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■ 2009年の抱負
以上のことを踏まえて、今年はこのような抱負を立てました。
1. 週一冊は本を読む
- 最近、情報のアウトプットどころか、インプットの方までおろそかになってるような気がするので、ここを定量化して強化したいと思います。Webから得られる情報ももちろん重要なのですが、定量化が簡単(何冊と数えられる)ということで、今年は本を基準に。
2. 読んだ本、文献や、参加したイベントについては、必ずメモを残す
- 過去に全くやってなかったわけではないのですが、今まではメモを残す気力のある時とない時でまちまちでした。残したメモをブログとかで公開するかどうかはともかくとして、「情報をまとめて文字に起こす」体力を付けられたらなあと思います。
- 2008年は、他の人に「これはこうすべき」とか「これはこう考えるべき」ということをうまく伝えられなかったという経験が多かったこともあって、そのための訓練も必要だなあと……。
3. 英語の練習を毎日続ける
- 今年はTOEICの点を目標にせず、毎日続ける事自体を目標にしようと思います。
- リスニングの練習はiKnowやESL Podcastで、リーディングの練習は英語の本も月一ペースで読むことを目指します(大丈夫かな……)。
4. 新しいプログラム言語を1つ覚える
- これは半分趣味で。今更ですがErlangとか、他の関数型言語とか勉強してみたいなあ、と。
繰り返しになりますが、今年も無印吉澤と吉澤をよろしくお願いします。
2009/01/04
■[P2P]Winny裁判報告会に行ってきました
LSE - NPO法人ソフトウェア技術者連盟 - Winny裁判報告会開催のご案内(2009年1月)
http://lse.or.jp/?winny_report090104
今年の1月19日から大阪高裁での控訴審が始まるのを受けて、ソフトウェア技術者連盟(LSE)のWinny裁判報告会が開催されました。会場は、恵比寿駅近くにあるドリームボートの東京オフィス。結構立派なオフィスでした(写真の一枚も撮ってくれば良かった……)。
ちなみに参加者はたった7名でした。まあ、去年は(表向きには)大した動きもなかったので、無理もないかと。僕も、山根さんから教えてもらってなかったら多分気付かなかったと思います。
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■ 今後のLSEの活動について
まず最初にLSE理事長の新井さんから、挨拶と、今後の活動についての説明がありました。
今年は、日本のソフトウェア業界を盛り上げるための活動を考えているとのこと。最近、新井さんは福岡でRuby技術者向けの教育に力を入れており、その一環として、現地で講習会や九州Ruby会議01(2008年12月14日開催)を開催しているそうです。また、日本の最新状況を英語で伝えるAsiajinというサイトを2007年末に開始し、これは今ではTechCrunchの執筆陣からもチェックされるくらいに認知が高まってきているとのこと。これらの活動とLSEの活動をうまく合わせたい、と述べていました。
また、僕がちょっと前にツッコミを入れたLSE会員のスルーっぷりについては、近いうちに会員向けのメーリングリストを作って、イベント告知などを行うようにしてくれるそうです。会計報告についてもそのうち出すけど、弁護士費用はほとんど持ち出しで、まれに海外事例の翻訳を外部に依頼するくらいで実際ほとんど出費はない、とは壇弁護士の弁。
ML作成と同じタイミングで会費未払いの人には連絡を送るそうなので、僕の今年分の年会費も、そのときには耳を揃えて払おうと思います。いや、今日払っても良かったんですけど、財布に6千円しか入ってなかったので……すみません。orz
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■ 控訴に至る経緯
その後、壇弁護士から原審のおさらいと、大阪高裁への控訴に至った経緯についての報告がありました。
今回の報告で使われたプレゼン資料は、1月19日のマスコミ向け説明に向けて手直ししたあとで、いずれWebサイト上で公開する予定とのことです。なので、ここでは細かい内容は紹介しませんし、詳しくはプレゼン資料の公開後にそちらを見てもらいたいのですが、率直な感想としては「なんかややこしい話になってるのは分かった」。
弁護側の控訴理由として、壇弁護士からは以下の4点が紹介されました*1。
法令適用の誤り(刑訴法380条)
- 不特定多数の幇助は成立しない
- もし仮に不特定対数の幇助が成立するにしても、曖昧な用件で成立させてはならない
訴訟手続きの違法(刑訴法379条)
- 訴因特定不足
告訴の不存在
- 親告罪、特に著作権法においては、正犯に対する告訴をもって、幇助犯に対する告訴を認めることはできない
- 証拠物(ACCSのアンケート)を供述証拠としてつかった違法
- 証拠能力を欠く被告人調書の証拠採用
事実誤認(刑訴法382条)
- ファイル共有ソフト利用実態(実態に合致しない)
- 被告人の主観的対応(Winny将来展望)
- Winnyの技術(中継により匿名が実現するというのは誤り)
- 正犯の認定(証拠から正犯性は認められない)
法令の適用、または事実誤認
- 新しい技術に対する曖昧な刑罰は許されるべきではない
今回聞いて驚いたのは、一審で有罪判決の決め手になったのは最終的にはACCSのアンケート(統計的には全く意味がないデータ)だった、という話と、映画ファイルのアップロードで逮捕された正犯の裁判もずさん極まりないものだった(自白は取れているらしいが冤罪では?)、という話でした。
その背景としては、裁判官や検察側にITに関する十分な知識が無いだけでなく、刑事事件の裁判官は刑事事件しか担当しないため、民事事件の裁判官以上にIT知識を得る機会がない(インターネットに対して拒否反応を示しがち)ということもあるそうで。詳細はよく分からないけどなんか悪そうだから適当なロジックを立てて有罪にする、なんてことを普通にやられたらたまらないなぁ……。
あと、Winny事件以降、京都府警ハイテク犯罪対策室からの立件が増えた*2、という話が出たのですが……最近はどうも、海賊版DVDの字幕作成者を(字幕を作成しただけで)著作権法違反幇助の容疑で特定しようとしているそうです。以前、字幕職人が公衆送信権侵害容疑で逮捕されたことはありましたが、字幕を作成しただけで著作権法違反幇助というのはちょっとやりすぎのような。そりゃまあ、字幕を作成するからには、それをどこかで公衆送信することを意図している、と言えないことは無いんでしょうけど。うーん、さすがに「著作権法違反幇助」を乱用しすぎのような。
壇弁護士によると、高裁の結果がどうなろうと(金子さんが死なない限り)絶対に最高裁まで争うとのことなので、著作権法の乱用を防ぐために今後も頑張って欲しいと思います。僕も引き続き応援します。
*1 ちなみに、検察側の控訴理由は量刑不当。
*2 原田ウィルス作者の逮捕、違法着うた配信幇助でのレンタルサーバ会社役員の逮捕(ITmedia)、公衆送信権侵害容疑での字幕職人の逮捕(P2Pとかその辺のお話@はてな)に関与。
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