無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

吉澤です。このサイトではIPv6やP2Pなどの通信技術から、SNSやナレッジマネジメントなどの理論まで、広い意味での「ネットワーク」に関する話題を扱っていたのですが、はてなブログに引っ越しました
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最新 追記

2007/02/19

[mobile][gadget]イー・モバイルの価格設定 / ADSLなんてケータイのおまけ?

とうとうイー・モバイルの料金体系と、その端末ラインナップが発表されました。

今年の春からイー・モバイルとIPモバイルの2社が携帯電話に新規参入することになっていますが、今回のニュースはその前者、イー・アクセスの子会社の方の話です。

以下は、イー・モバイルによるプレスリリース。2月19日深夜の時点ではかなり繋がりにくくなっています。

料金プランは少しややこしいのですが、普通のユーザにとっては「パソコンからの利用を含めた月額定額制」「月額5,980円」と考えれば間違いないでしょう。一応月額4,980円のコースもありますけど、その場合は端末価格(を含む初期費用)の割引が効かなくなってしまうので、これを選ぶユーザはあまりいなそうです。

しかし、下り最大3.6MbpsのHSDPAがこの価格で使い放題というのは、かなり破格の安さですね。月額5,980円という額だけ見るとかなり高く見えますけど、実際のところそうでもないです。

これまで、モバイルキャリアでは唯一WILLCOMが定額インターネット接続を提供していました。しかし、WILLCOMで定額インターネット接続を実現しようとすると、最低での以下の料金が必要でした。

  • ウィルコム定額プラン2,900円
  • リアルインターネットプラス2,100円
  • プロバイダ契約(ISPによって従量または定額)

    • WILLCOMユーザなら契約なしで使えるプロバイダ(PRIN)だと、料金は5.25円/分で、上限が1,575円(上限を超えるとあとは定額)

とまぁ、5,000〜6,575円の料金がかかってたわけです。プロバイダ料金はもっと安いところがあるかもしれませんけど、大体どこもこれくらいだと思います。ちなみに、リアルインターネットプラスだと、データ通信速度は2x(32kbpsが2回線=64Kbps)です。

このように、パソコンからの利用を含めて定額ということと、通信速度を考えると、ユーザの用途によってはかなりお得感があります。もちろん、DoCoMoやauと比べたら尚更ですし。これは、サービスエリアが順当に広がっていけば、かなりのビジネスユーザを見込めるんじゃないでしょうか。

また、この価格ならビジネスユーザだけでなく、ノートPCしか持っていない一般ユーザにも、ADSLの代替として普及する可能性が十分あると思います。上記の料金体系に関するプレスリリースの中で、以下のような記述があるのは、おそらくそれを見越してのことでしょう。

イー・アクセス株式会社から下り最大10MbpsのADSLサービスの提供を受け、同社サービスエリア内の利用者に対して、『EMモバイルブロードバンド』とセットでお申し込みの方に、『ADSLサービス』を月額1,500円にて提供します。

特筆すべきは、このADSLサービスの安さです。「有線インターネットアクセスなんて、ケータイのおまけにしか過ぎないんだよ」と言ってるかのような価格設定じゃないですか、これ……?

彼らとしては、将来的には「普通の人は無線インターネットアクセスで十分。ヘビーに使う人は無線に加えて有線の方も契約する」というスタイルを一般化させて、NTTの牙城を崩そうと考えているのかもしれません。それは、個人的には十分あり得る未来だと思います。

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一方、サービス開始と同時に登場するシャープ製「EM・ONE」の方も、かなり気合いが入ってます。目立つスペックを並べてみるとこんな感じ。

  • HSDPAと無線LAN(802.11b/g)のデュアル端末
  • ワンセグ対応
  • 4.1インチW-VGA(800×480ドット)
  • スライド式のQWERTY配列キーボード
  • RGBアダプタ端子
  • 約131万画素のカメラ
  • ホスト対応USB機能
  • Bluetooth 1.2
  • フラッシュメモリ 512MB / SDRAM 128MB
  • 使用時間は約4時間
  • わざと狙っているとしか思えないネーミング

なんというか、入れられる機能はとりあえず全部突っこんでみたって感じですね……。使用時間が短めなので、実際の使用でどのくらい電池が保つのかが気になりますけど、とにかくすごいやる気を感じます。W-ZERO3シリーズのハイエンド機?

個人的には、この端末の使用感がある程度ネットに出てきて、サービスエリアが広がってきたら、WILLCOM+W-ZERO3からイー・モバイル+EM・ONEへの乗り換えを真剣に考えてみるつもりです。普通に考えれば、PCメインで使う人は、PCカードの方を1年契約で買うのがよさそうですけど、これは……ちょっとさわってみたくなるなぁ。

しかし、W-ZERO3の新作が一向に出てこないと思ったら、シャープはこんなものを作ってたんですね……。WILLCOMユーザは見捨てられましたか?(汗)

参考:


2007/02/22

[P2P][VoIP]IETF P2PSIPワーキンググループ設立

Peer-to-Peer Session Initiation Protocol (p2psip) Charter
http://www.ietf.org/html.charters/p2psip-charter.html

2年ほど前から、IETFミーティングのBOFやメーリングリスト等で議論されていたP2P SIPですが、とうとうP2P SIPに関する正式なワーキンググループが設立されました。上記のURLは、本日公開されたP2PSIPワーキンググループのサイトです*1

チャーター(憲章)にある目標とマイルストーンは以下のようになっています。ちなみに、彼らはしばらく前からP2P SIPを指す用語を「P2PSIP(P2PとSIPの間を空けない)」に固めたようです。

Goals and Milestones:

Jul 2007    WGLC of P2PSIP overview document
Sep 2007    Submit P2PSIP overview document to the IESG (Informational)
Jan 2008    WGLC of P2PSIP Peer Protocol document
Mar 2008    Submit P2PSIP Peer Protocol document to the IESG (PS)
Jul 2008    WGLC of P2PSIP Client Protocol document
Aug 2008    Submit P2PSIP Client Protocol document to the IESG (PS)
Apr 2009    WGLC of P2PSIP usage document
May 2009    Submit P2PSIP usage document to the IESG (BCP)

P2PSIPワーキンググループでは、「P2PSIP Peer」と「P2PSIP Client」から成る(Skypeのような)2階層のオーバレイネットワークを考えています。「P2PSIP Peer」というのは、SIPのロケーションサービスを実現するオーバレイネットワークを形成するノードのことで、「P2PSIP Client」というのはそのオーバレイネットワークに参加せず、ただ利用するだけのノードのこと。P2PSIP Peerだけあればオーバレイネットワークを一応形成できるので、つまり、P2PSIPの基本部分が完成するのは約1年後という計画ですね。

また、これは誤解されそうなところなので補足しておくと、ユーザに固有の識別子や証明書を割り当てる方法(彼らはこれを「enrollment process(入会プロセス)」と呼んでいる)や、ブートストラップノードを発見する方法は、このP2PSIPワーキンググループの対象外になっています。

The initial work will assume the existence of some enrollment process that provides a unique user name, credentials, and an initial set of bootstrap nodes if that is required by the protocols. Developing a non-centralized enrollment process is not in scope.(Charter冒頭より引用)

僕がSkype Conference 2005で講演する為に調べていた頃は「全く管理者の居ないオーバレイネットワーク」という方向も検討されていたのですが、結局そのあたりは現実的なところに落ち着いたみたいですね。このワーキンググループの活動がうまくいくかどうかは、P2PSIPのリファレンス実装がどれだけ早く出てくるかにかかってると思っていたので、現実的なアプローチを選ぶのは良いことだと思います。

プレゼンス機能まで含んだリファレンス実装が手元で動かせるようになると、Asteriskのように草の根で普及していく可能性が出てくると思うんですけど……SIMPLE準拠のプレゼンス機能をどうやって/どこまで実装するかは、悩みどころのような気がします。ともあれ、今後の成果に期待ですね。

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実装関係の参考サイト:

  • SIPDHT

    • P2PSIP関連のドラフトを参考にして(完全準拠ではない)作られたライブラリ。「a library to be used in applications for creating and using SIP based distributed hash tables」が目標で、既に実装が公開されている

  • ViaSIP_NG

    • オープンソースのP2PSIP Client、P2PSIP Peer等を開発するプロジェクト。現時点で公開されている実装は何も無い

本サイトでの紹介記事:

*1 ちなみに、サイトが出来たのは今日ですが、ワーキンググループ自体は既に2月8日に承認されてました。承認からサイトの公開までって、結構時間がかかるものなんですね。


2007/02/27

[mobile][gadget]EM・ONEいじってきました

先週末、ビックカメラ新宿西口店2Fまで出かけて、EM・ONEの実機を見てきました。下の写真は、イー・モバイル展示エリアの様子。

ビックカメラ新宿西口店2Fの奥の方

この写真だと実機がやたらたくさんありそうに見えますけど、動体展示は2台だけ。1人が10分くらい粘っているところを、パンフレットを見たり展示員さん(イーモバイルの社員?)と喋ったりしながら2人分待って、僕も10分くらい一通りの機能をいじくり回してきました。

で、いじってみた印象から言うと、EM・ONEは「ひょっとしてもうWebアプリだけで暮らせるようになるんじゃないか?」と感じさせる端末でした。とにかく、HSDPAへの接続とOperaの起動が早いのが良いですね。個人的には、今ちょっと心が「購入」の方に傾いてます。

まずは、各部をさわってみた感想。

  • ワンセグ

    • ワンセグを試そうとしたが、展示エリアがワンセグの圏外で駄目だった
    • ワンセグのソフトは全画面起動のみ。起動時に、他のソフトを全部シャットダウンするよう要求してくる

  • スライド式の電源ボタン

    • 電源を入れてから1〜2秒で起動する。電源を切ってもサスペンド状態になるだけの様子
    • 電源を入れると、その直後にHSDPA網へ接続する
    • ワンセグを起動するときに一度うまくいかなくて、リセットをかけたら、さすがにW-ZERO3と同じくらいの起動時間がかかった

  • HSDPA

    • HSDPAのインターフェイスをONにする機能はなかった
    • 無線LANやBluetoothのON/OFFと同じ場所に、HSDPAのON/OFFを切り替えるボタンはあるんだけど、それが無効になってる
    • 製品版でどうなるかは、販売員もよく分からない(そもそもHSDPAをOFFにするという発想が無かったぽい)

  • ブラウザ

    • Operaの起動は、初代W-ZERO3とは比べものにならないくらい早い。1〜2秒で起動
    • IEは試し忘れました_| ̄|○

  • スクロールホイール(俗に言うジョグダイヤル)

    • Operaの画面スクロールなどにも使える。これは便利
    • スクロールホイールだけでお気に入りサイトに一発ジャンプできるソフト「ネットウォーカー」も標準添付されている。ただ、ホールをスクロールしすぎて指定したいサイトを通り過ぎたりして、なかなか思い通りのサイトを指定できなかった。慣れればうまくいくようになる?

  • ポインティングデバイス

    • これも便利そうだと思ってたけど……実際に使ってみると、レバー自体を押すときに位置がズレて結構イライラさせられた
    • いくらEM・ONEが大画面といっても、やっぱり携帯端末なので、ちょっと位置がズレるだけでも影響が大きい。これも、慣れればなんとかなる?

  • デュアルスライド

    • 上下と左右にスライドできる。スライドの間隔はスムーズだった
    • ただ、左側にスライドするときは、「カチッ」と音がするまでスライドしないとポインティングデバイスが有効にならない。これも慣れか

  • キーボード

    • W-ZERO3と同じくらいには押しやすかった

  • 見た目

    • 色はBLACKとWHITEの2モデルだが、どちらも背面は黒
    • ケースの指紋や汚れはそれほど目立たなそう

  • 未実装の機能

    • 3D Box機能はまだ入ってなかった
    • URLがプリセットされてるEM・ONE専用サイトも、行ってみると「準備中」

それと、以下は展示員さんへの質問と、その回答。

  • Q)EM・ONEに電話番号は割り振られる?

    • A)割り振られると思うが、よく分からない。090か080のどちらかだと思う

  • Q)1年後に音声通話サービスが始まるが、EM・ONEでも音声通話できるようになる?

  • Q)メールのプッシュ配信は?

    • A)無い。OutlookやSDメーラ(独自のメーラ)を使って、定期的にPOPサーバにアクセスするしかない
    • (補足)起動画面を見ると、Windows Mobile 5.0のMSFP(Messaging and Security Feature Pack)対応版が入っているぽいので、Exchange Serverを利用すればメールのプッシュ配信も可能なはず

  • Q)公称4時間というのは、具体的にどういうこと?

    • A)販売員もよく分かってない。ただ、ワンセグを付けっぱなしにしてると約2時間で電池が切れる

  • Q)W-ZERO3の時は品切れが凄かったですけど、どれくらい生産する予定なんですか?

    • A)潤沢に生産する予定。少なくとも、予約分は必ず確保する

  • Q)ところで、データ通信カードってUSBのだけあれば十分じゃないですか?

    • A)お察しください

以上のような感じでした。

EM・ONEについて話す人のほとんど全員が話題にする「使用時間:約4時間」の件ですが、電源をONにするとHSDPAに強制接続するあたりからして……ホントに4時間電源ONにしてるだけで電池が切れちゃうような気がしてきました。ちょっと電池の保たないPDAと考えればいいのかなあ。

しかし、電源を入れたとたんにHSDPAに接続して、ブロードバンド回線でWebにアクセスできるというのは、新感覚のような気がします。これだったら、EM・ONE本体に大したソフトを入れなくても、GmailやRemember The MilkといったWebアプリだけで過ごせてしまうかもしれません。

まぁ、もちろんサポートエリアが順調に広がったら、という条件付きですけどね。それが問題なんですよねえ……うーん。どうしようかな。

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ところで、僕は一応展示員さんに色々聞きながらいじって見たのですが、展示員さんも詳しい話はよく分かってない感じだったので、上記の話にはデマが多分に含まれてる可能性があります。もし間違いがあったらコメント欄でご指摘お願いします。


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