2006/11/28
■[VoIP]SIProp開発者の今村さんによる、SIP相互接続性問題の三分類
前回の日記で「SIPには方言があるっていうけど、具体的にどういう問題があるのかよく分からない」と書いていたところ、SIProp開発者の今村さんのブログでフォローがありました。
SIP相互接続問題のカテゴリー(なんとなく実験 with SIProp開発記)
http://www.noritsuna.com/archives/2006/11/sip_4.html
今村さんは、このエントリーでSIPの相互接続性問題を以下の3つの問題に分けて解説しています。
- トランザクション(SIPスタック)レベルの問題
- シーケンス(UA・機能)レベルの問題
- スペック(機能仕様)レベルの問題
詳しくは元エントリーの方を読んでもらうとして、この分類の面白いところは2番目の「シーケンスレベルの問題」と、3番目の「スペックレベルの問題」を切り分けているところだと思います。
最初にこの文章を読んだとき、僕はこの2番目と3番目の問題の区別がよく分からなかったのですが、文章をよく読んでみると
●シーケンス(UA・機能)レベルの問題
基本的に、RFCでは、トランザクションの定義はありますが、シーケンス(機能)に関する定義はありません。そのため、SIPをPBXのプロトコルとして使用する場合には、独自でシーケンス(機能)を定義する必要があるのです。
2番目のこれは、ある機能をどういうシーケンスで実現するか、という「実装の問題」で、
●スペック(機能仕様)レベルの問題
これは、プロトコル的には、シーケンス(UA・機能)レベルの問題と同じではあるのですが、UAとしては、影響が出るものなので、ここでは別としています。
こちらは、同じ名称でも、具体的には別物というものとなります。たとえば、電話でよく使用される留守電機能(留守電シーケンス)があります。
- 家庭用電話機では、電話機自体に留守電を保存し、再生します。
- ケータイでは、キャリア側(サーバ側)に留守電を保持し、再生することもできます。
- PBXでは、留守電メッセージをMP3などに変換して、メールで送信する機能もあったりします。
というように、一口に「留守電機能」といっても、端末メーカーやPBXメーカーにより、スペック(機能仕様)自体が全く違っていたりするのです。
3番目のこれは、ある機能をどういう名称で呼ぶか、という「用語の問題」。基本的にSIPropが対処するのは「実装の問題」になるので、この切り分けを重視しているのかもしれません(上記の文章の「UAとしては、影響が出るもの」というあたりで)。
ただ、そう言っても、SIPropの活動がスペックレベルの問題を解決しないというわけではなくて……今後SIPropの活動の中でシーケンス(機能)がいろいろ定義されると、その用語を使ってスペックを明確に定義できるようになる(=スペックレベルの問題が解決する)という効果も期待できます。スペックの定義が曖昧なためにシーケンスレベルでの違いがでてくる、ということは往々にしてあるわけですしね。
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