無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

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2007/02/22

[P2P][VoIP]IETF P2PSIPワーキンググループ設立

Peer-to-Peer Session Initiation Protocol (p2psip) Charter
http://www.ietf.org/html.charters/p2psip-charter.html

2年ほど前から、IETFミーティングのBOFやメーリングリスト等で議論されていたP2P SIPですが、とうとうP2P SIPに関する正式なワーキンググループが設立されました。上記のURLは、本日公開されたP2PSIPワーキンググループのサイトです*1

チャーター(憲章)にある目標とマイルストーンは以下のようになっています。ちなみに、彼らはしばらく前からP2P SIPを指す用語を「P2PSIP(P2PとSIPの間を空けない)」に固めたようです。

Goals and Milestones:

Jul 2007    WGLC of P2PSIP overview document
Sep 2007    Submit P2PSIP overview document to the IESG (Informational)
Jan 2008    WGLC of P2PSIP Peer Protocol document
Mar 2008    Submit P2PSIP Peer Protocol document to the IESG (PS)
Jul 2008    WGLC of P2PSIP Client Protocol document
Aug 2008    Submit P2PSIP Client Protocol document to the IESG (PS)
Apr 2009    WGLC of P2PSIP usage document
May 2009    Submit P2PSIP usage document to the IESG (BCP)

P2PSIPワーキンググループでは、「P2PSIP Peer」と「P2PSIP Client」から成る(Skypeのような)2階層のオーバレイネットワークを考えています。「P2PSIP Peer」というのは、SIPのロケーションサービスを実現するオーバレイネットワークを形成するノードのことで、「P2PSIP Client」というのはそのオーバレイネットワークに参加せず、ただ利用するだけのノードのこと。P2PSIP Peerだけあればオーバレイネットワークを一応形成できるので、つまり、P2PSIPの基本部分が完成するのは約1年後という計画ですね。

また、これは誤解されそうなところなので補足しておくと、ユーザに固有の識別子や証明書を割り当てる方法(彼らはこれを「enrollment process(入会プロセス)」と呼んでいる)や、ブートストラップノードを発見する方法は、このP2PSIPワーキンググループの対象外になっています。

The initial work will assume the existence of some enrollment process that provides a unique user name, credentials, and an initial set of bootstrap nodes if that is required by the protocols. Developing a non-centralized enrollment process is not in scope.(Charter冒頭より引用)

僕がSkype Conference 2005で講演する為に調べていた頃は「全く管理者の居ないオーバレイネットワーク」という方向も検討されていたのですが、結局そのあたりは現実的なところに落ち着いたみたいですね。このワーキンググループの活動がうまくいくかどうかは、P2PSIPのリファレンス実装がどれだけ早く出てくるかにかかってると思っていたので、現実的なアプローチを選ぶのは良いことだと思います。

プレゼンス機能まで含んだリファレンス実装が手元で動かせるようになると、Asteriskのように草の根で普及していく可能性が出てくると思うんですけど……SIMPLE準拠のプレゼンス機能をどうやって/どこまで実装するかは、悩みどころのような気がします。ともあれ、今後の成果に期待ですね。

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実装関係の参考サイト:

  • SIPDHT

    • P2PSIP関連のドラフトを参考にして(完全準拠ではない)作られたライブラリ。「a library to be used in applications for creating and using SIP based distributed hash tables」が目標で、既に実装が公開されている

  • ViaSIP_NG

    • オープンソースのP2PSIP Client、P2PSIP Peer等を開発するプロジェクト。現時点で公開されている実装は何も無い

本サイトでの紹介記事:

*1 ちなみに、サイトが出来たのは今日ですが、ワーキンググループ自体は既に2月8日に承認されてました。承認からサイトの公開までって、結構時間がかかるものなんですね。

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