2005/09/11
■[P2P勉強会][P2P][VoIP]P2P SIP解説の参考資料
P2P SIP解説(Skype Conference 2005)
http://muziyoshiz.jp/sc2005/?Yoshizawa
Skype Conferenceでも予告した通り、上記の講演原稿を作る際に参考にした資料を紹介します。P2P SIPについてもっと詳しく知りたい方は、以下のサイトを手がかりに文献を漁ってみて下さい。
※SIPについては、世の中に山ほど書籍が出ているので今回は省略させて頂きました。
■ まとめサイト
P2P SIPの研究者自身によるまとめサイト。大抵の関連文書はここからたどれます。
P2P SIP(p2psip.org)
http://www.p2psip.org/- College of William and MaryのDavid A. Bryan氏によるサイト。
- P2P SIP全般を扱っており、関連文書へのリンクが豊富。第63回IETF Meetingで行われたPeer-to-peer SIP Ad-hoc meetingのプレゼン資料へのリンクもあり。
P2P-SIP
http://www1.cs.columbia.edu/~kns10/research/p2p-sip/- Columbia UniversityのKundan Singh氏によるサイト。
- こちらのサイトは、同氏の論文とプレゼン資料が中心。と思わせつつ、見つけづらいところに充実したリンク集(P2P-SIP related work)あり。
■ 論文
まだあまりこの分野の研究者は多くないみたいです。もしP2P SIP(またはP2P VoIP)に興味があるなら、P2P分野の研究(ここに載っていないDHTとか)から調べてみる方がいいかもしれません。
D. A. Bryan, B. B. Lowekamp and C. Jennings, "SOSIMPLE: A Serverless, Standards-based, P2P SIP Communication System", Proceedings of the 2005 International Workshop on Advanced Architectures and Algorithms for Internet Delivery and Applications (AAA-IDEA) '05, June 2005.
http://www.cs.wm.edu/~lowekamp/papers/bryan-AAA-IDEA2005.pdf- P2P over SIPモデルの提案。DHTの一種であるChordを、SIPメッセージを用いて実装する。
SOSIMPLEはSelf Organizing SIMPLEの略(SIMPLEはIM/Presenceを実現するためのSIP拡張の名前)。SOSIMPLEというタイトルが付いた論文はこの他にもいくつかあり、確認できる範囲で最初に発表されたのは以下の論文。
- D. A. Bryan, "SOSIMPLE -- Self Organizing SIMPLE, A Proposed P2P Instant Messaging System", December 2003.
http://www.cs.wm.edu/~bryan/pubs/780%20final%20paper.pdf
- D. A. Bryan, "SOSIMPLE -- Self Organizing SIMPLE, A Proposed P2P Instant Messaging System", December 2003.
- D. A. Bryan氏は、SBC(Session Border Controller)のメーカであるJasomi Networksの元CTO兼共同設立者。
- SOSIMPLEという名前のプロトタイプ実装あり。
K. Singh and H. Schulzrinne, "Peer-to-peer Internet Telephony using SIP", Columbia University Technical Report CUCS-044-04, New York, NY, October 2004.
http://www.cs.columbia.edu/~library/TR-repository/reports/reports-2004/cucs-044-04.pdf- こちらもP2P over SIPモデル(Chord over SIP)の提案。上記のSOSIMPLEと同時期に始まった研究らしい。
- Schulzrinne氏は、SIPのRFC執筆にも参加している有名な人物。
SIPPEERという名前のプロトタイプ実装あり。
- SIPPEER: A Session Initiation Protocol (SIP)-based Peer-to-Peer Internet Telephony Client Adaptor
http://www1.cs.columbia.edu/~kns10/publication/sip-p2p-design.pdf
- SIPPEER: A Session Initiation Protocol (SIP)-based Peer-to-Peer Internet Telephony Client Adaptor
I. Stoica, R. Morris, D. Karger, M. F. Kaashoek and H. Balakrishnan, "Chord: A scalable peer-to-peer lookup service for Internet applications", In Proceedings of ACM SIGCOMM 2001, pages 149--160. ACM Press, August 2001.
http://pdos.csail.mit.edu/papers/chord:sigcomm01/chord_sigcomm.pdf- Chordの論文。今回の講演に向けて読んでみたのだが、割と読みやすかった。
■ Internet Draft
現在のところP2P SIPに関するRFCはまだ無く、以下の3つのInternet Draftが存在するのみです。文書そのものをリンクしてもすぐ有効期限切れになってしまうので、リンク先はInternet Society(ISOC)のサイトにしておきました。
D. A. Bryan and C. Jennings, "A P2P Approach to SIP Registration and Resource Location", Internet-Draft draft-bryan-sipping-p2p-01, January 2005. (work in progress)
http://ietfreport.isoc.org/idref/draft-bryan-sipping-p2p/- P2P over SIPモデルの提案(上記のSOSIMPLE論文と同じ)。
- ChordのアルゴリズムをSIPメッセージ上に実装するためのSIP拡張について、具体的に記述している。
- 講演資料の「3. P2P SIPの技術解説」で説明した例は、このInternet Draftの「8. Examples」を元にした。
A. Johnston, "SIP, P2P, and Internet Communications", Internet-Draft draft-johnston-sipping-p2p-ipcom-01, March 2005. (work in progress)
http://ietfreport.isoc.org/idref/draft-johnston-sipping-p2p-ipcom/- SIP using P2Pモデルの提案。
- SIPのP2P的な面と非P2P的な面を分析し、その結果として、SIPサーバ(Registrar/Proxy/Redirect)とLocation Serviceの間のプロトコルをP2P化すべきであると論じている。
- まだ提案段階で、実装については「DHTを使うべき」という以上の内容はない。
- 講演資料の27ページの内容は、このInternet Draftの「8. SIP P2P Implementations」を元にした。
- これは全くの余談ですが、このInternet Draftの5ページ目に「dynamic DNSでググれ(Google "dynamic DNS")」という記述があって笑いました。
ゆとり教育Googleの影響力はすごいなあ。
P. Matthews and B. Poustchi, "Industrial-Strength P2P SIP", Internet-Draft draft-matthews-sipping-p2p-industrial-strength-00, February 2005. (work in progress)
http://ietfreport.isoc.org/idref/draft-matthews-sipping-p2p-industrial-strength/- "Industrial-Strength"とは、既存のVoIPと同等の機能セットを持つという意味。
- P2P SIPが"Industrial-Strength"を持つために満たすべき要求をリストアップし、そのためのプロトコルスイートの構造を提案している。
- このInternet Draftを執筆したのは、後述するNimcat NetworksのCTO。
■ その他の資料
SIPPINGワーキンググループ
http://www.ietf.org/html.charters/sipping-charter.html- SIPのアプリケーション利用に関するワーキンググループ。ここのメーリングリストで、P2P SIPに関する議論が行われていた。
P2P SIPメーリングリスト
http://lists.cs.columbia.edu/mailman/listinfo/p2p-sip- IETF 63後に新しく作られたメーリングリスト。今後は、こちらがP2P SIPに関する議論の中心に?
P2P-SIP - Peer to peer Internet telephony using SIP
http://www1.cs.columbia.edu/~kns10/talks/p2psip-panasonic.ppt- P2P SIPをP2P over SIPとSIP using P2Pに分類するアプローチは、この資料から拝借。
アンドリュー・S・タネンバウム著,水野忠則・相田仁・東野輝夫・太田賢・西垣正勝訳(2003)『コンピュータネットワーク第4版』,日経BP社.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822221067/- p.362-366にChordの説明あり。
ドキュメント-structured P2P/DHT(Distributed Hash Table)メモ & リンク集(アリエル エリア)
http://dev.ariel-networks.com/modules/xfsection/article.php?articleid=20- 講演資料の「2. P2P技術"DHT"」をまとめる際の参考にさせて頂きました。
A servey of "Security Considerations for Peer-to-Peer Distributed Hash Tables"
http://www.slab.sfc.keio.ac.jp/~atsushi/servey/securityp2p.html- DHTのセキュリティ問題に関する論文の、日本語要約。元の論文は、Internet Draft "SIP, P2P, and Internet Communications"でも参考文献に取り上げられている。
Nimcat Networks Inc.
http://www.nimcatnetworks.com/- P2P VoIPミドルウェアを開発する企業。
Aastra Technologiesという会社が、ここの組み込みソフトウェアNimXを採用した電話機(Venture IP)を既に販売している。
- Aastra Technologies
http://www.aastra.com/
- Aastra Technologies
Popular Telephony Inc.
http://www.populartelephony.com/こちらも、P2P VoIPミドルウェアを開発する企業。Peerioは「ピアリオ」と読む、とのこと。
- Peerio Home Page
http://www.peerio.com/
- Peerio Home Page
Popular Telephony Inc.の製品は、国内ではマクニカネットワークスが取り扱っている。
- P2P、サーバレス、サーバレスミドルウェアソフト - Popular Telephony Inc.
http://www.macnica.net/populartelephony/
- P2P、サーバレス、サーバレスミドルウェアソフト - Popular Telephony Inc.
■ 関連記事
このサイトでも、過去にP2P SIPを取り扱った日記を何度か書いています。よかったらご参考下さい。
- P2P SIPの勉強中 / Columbia Universityの場合(2005/01/27)
- College of William and MaryによるP2P SIPのドラフト(2005/04/04)
- P2P SIPのメリットって何?(2005/04/04)
- P2P SIPに対するJ. Rosenberg氏のコメント(2005/04/11)
- P2P SIP用組み込みソフトウェアNimX(2005/04/11)
- SIP関係者から見たP2P SIP(2005/08/09)
- Cullen Jennings氏のインタビューの要約(2005/08/15)
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ふー。これで僕の夏も終わったな……。
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