無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

吉澤です。このサイトではIPv6やP2Pなどの通信技術から、SNSやナレッジマネジメントなどの理論まで、広い意味での「ネットワーク」に関する話題を扱っていたのですが、はてなブログに引っ越しました
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2005/09/04

[P2P勉強会]Skype Conferenceお疲れ様でした+裏話

昨日はSkype Conference 2005の日でした。参加者&関係者の皆さま、お疲れ様でした。

事務局の方では直前まで色々とバタバタしていましたが、講演自体には大きな問題もなく、かなり楽しいイベントになったのではないかと思います。

僕自身の講演はというと、あれからいろいろ手直しをしたものの、結局かなり難しめの内容になってしまいました。で、公演前は「これは、Skypeという名前だけ見て来た人は開始10分で爆睡しちゃうんじゃ?」と心配していたのですが、アンケートを見ると意外と楽しんでもらえたようで良かったです。

というか、講演の最初に「SIPを知っている人は挙手して下さい〜」とお願いしたら、8割くらいの人が手を挙げていて驚きました……客層のマニアックさに助けられたのかもしれないですね。

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ところで、回収したアンケートを後でパラパラ見ていたところ、やはり「会場で無線LANを使いたかった」という意見が多く見られました。

確かに、今回の会場としてお借りした電気通信大学の教室では無線LANを使うことが出来ませんでした(申し訳ありません)。正確には、色々と手続きを取れば使えないこともなかったらしいのですが、比較的安い値段で部屋をお借りしている手前、なかなか強く言えなかったというのが実情です。

しかし……Skype Conferenceをご覧になった方は覚えているかと思いますが、清成さんの講演では、PDAとノートPCの間でSkypeのデモを行っていました。ノートPCを持った横田さんが教室の後ろまで移動していっても、遅延無く音声通話できていましたが、アレは一体どうやってたんでしょうか?

そこで今回は、Skype Conference当日のデモネットワークの秘密を大公開してみたいと思います。

■ Skype Conference前日のテスト環境

成り行きとしては、まず当初はネットワーク環境を完全に諦めてしまってました。ですが、「やっぱり、デモ用のネットワークが必要だよね」という話が開催一週間前から出始めて、いろいろ検討した結果、

「FOMA経由でSkypeのログインだけできれば、通話は普通にできるかも?」

と具体的な検討に入ったのが開催4日前くらい。そこでSkype Conference前日の9/2、調布の安ホテルに前日入りしていた某氏の部屋(6畳くらい)に乗り込んで、テスト環境を構築してみました(下の写真は、そのテスト環境の様子)。

テスト環境(クリックして拡大)

画面外には、事務局のメンバー4名が居ます。うーん、狭すぎる……。

このテスト環境を、もう少し分かりやすく書くと以下のようになります(ルータ役のPCはWindows XP Professional)。このとき集まれた事務局メンバは誰もPDAを持ってなかったので、当日とは違ってノートPCばっかりです。

テスト環境のネットワーク図(クリックして拡大)

こんなテスト環境で、パケ死の恐怖と(FOMAの持ち主のTomoさんが)戦いながら、SkypeとvSkypeでの通話を試してみたのですが、遅延が2〜5秒あって全然会話になりませんでした。まあ、一応ログインは出来るから、その様子だけプレゼンできればいいかなぁ……ということでこの日は終了。

■ Skype Conference当日のネットワーク環境

で、当日構築したネットワークは、以下のようになりました。

当日のネットワーク図(クリックして拡大)

この環境でSkypeを動かしていろいろ試してみたところ、この図でいうノートPC 1-ノートPC 2間の通話は非常に遅延したのですが、ノートPC 2-PDA間の通話はほとんど遅延しませんでした。この結果から、Skypeは以下のような動作を行っていると推測できます。

  • 2つのノードが同じプライベートネットワークに存在する場合は、直接通信を行う(言い換えると、ICEのようにプライベートIPアドレスも交換している?)
  • ただし、片側のノードがグローバルIPアドレスを持つ場合は、上記の直接通信を行わない(プライベートIPアドレスを交換しなくなってしまう?)

こう考えると、前日のテスト環境での遅延も納得できます。

音声データの経路(推測)(クリックして拡大)

こんなことを会場に早朝8時から集まってテストして、みんなで「おー」とか言いながら喜んでました(笑)

ただ、その後清成さんが持ってきた大量のPDAの中には、デフォルトルートとDNSサーバを手動で設定できないものがあって、かなり焦ったりしたのですが……(しかも、不幸にも最初に試した端末がそれだったから「もうおしまいだー!」という状態に)。本番には、他のPDAを設定してなんとか間に合いましたけどね。

まあ。以上、ちょっとした苦労話でした。

■ おまけ

あとで、PDAの設定の話を某社副社長にしてみたところ「ノートPC 1のところにHTTPプロクシを立てれば、SkypeはHTTPプロクシ経由で接続できるんじゃないの?」と指摘されました。確かに出来るかも……すごい発想だなぁ。トリッキーすぎて自分で試す気にはなれませんけど。

ちなみに、FOMAの通信料が結局いくらかかったのか、僕はまだTomoさんから聞いていません。

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