無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

吉澤です。このサイトではIPv6やP2Pなどの通信技術から、SNSやナレッジマネジメントなどの理論まで、広い意味での「ネットワーク」に関する話題を扱っていたのですが、はてなブログに引っ越しました
最新の記事は http://muziyoshiz.hatenablog.com/ でご覧ください。
RSSフィードは http://muziyoshiz.hatenablog.com/feed に手動で変更するか、
Feedly or Live Dwango Reader を使っている方は以下のボタンで変更ください。
follow us in feedly Subscribe with Live Dwango Reader
«前の日記(2005/09/17) 最新 次の日記(2005/10/09)» 編集

2005/09/29

[P2P][VoIP]eBay over Skype(続き)

前回の日記で書いた内容に対して、圏外からのひとことのessaさんが面白いエントリを2つも書いてくださったのでご紹介します。

P2Pに関わるアサマシ系のジレンマ(圏外からのひとこと)
http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20050922#p06

他社にないeBayの強みは、オークション取引という金が動く地点をしっかりつかんでいるということでしょう。それがあるから、集客と金を吸い上げる仕組みをアサマしく連動させる必要がない。P2Pが「取引の周辺にあるコミュニケーション」を支えてくれれば、そのコミュニティに人が集まり、タダで集客できるわけです。集客した中で実際に金を落とす所まで行く回収率みたいなものがいくら低くても、取引の絶対数さえ上がっていけばeBayは儲かります。いくらヒヤカシ率が増加しても気にならないわけです。

essaさんはこの点をGoogleやYahooといった他のインターネット企業と比較することで、今回のSkype買収を「GoogleやYahooはP2Pに移行できないが、eBayは移行できる」というイノベーションのジレンマ的な問題として捉えています。なるほど。

このエントリを見ていて思ったのですが、そう考えると、インターネット通販という「実際に金を落とす所」を持っているAmazonがSkypeを買収する可能性もあったんですね。ただ、Amazonはアソシエイトプログラム利用者が十分多いのでSkypeを買収する必要は無かったけど、その競合であるeBayにとってはSkypeを買収する必要があった、とも考えられるのかも。

そして、次のエントリではMicrosoftとGoogleの対立を引き合いに出して、上記の見方を更に押し進めて考察しています。

相手の主力製品をタダにする競争(圏外からのひとこと)
http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20050927#p01

Googleが、OSというマイクロソフトの主力製品をタダで提供しようとしているから、ここまで怒るのだと思う。Googleは、クライアント側にあったOSとその上のアプリケーションを、自社のサーバファーム上に構築して、それをタダで提供しようとしている。

(中略)

しかし、無印吉澤さんのかいま見たビジョンはさらにその先を行き、広告という、Googleの主力製品をタダにしようとしている。Google-OSをサーバファームの代わりにP2Pの上に乗せることで、技術的にも経営的にもタダにできるのだ。

あまりにも革新的な話で、正直言って、これが本当にeBayとSkypeが考えていることかどうかは怪しい。しかし、それは無印吉澤さんのビジョンに両社が追いついているかどうかという問題であって、それと関係なく、このビジョンは実現可能である。

僕が前回の日記に書いたのは、採算の部分はとりあえず無視して単純に「eBayがSkypeの技術を持っていたら何に使えるか」と考えた結果でした。なので、確かにこれが本当に合併の理由かどうか、と聞かれると正直言って僕も自信ないです。「eBay over Skype」でググって出なかったから書いておくか、くらいのノリだったので(笑)

しかし、このビジョンを他のネット企業だけでなく、他業種にまで広げることができるかもしれない、という考え方は面白いですね。興味を持たれた方は、是非essaさんが書いた原文の方を読んでみてください。

----

(おまけ)
Enterpriseの記事の中で、上記の話と多少似ているような似ていないような話が出ていました。

吉と出るか凶と出るか、米eBayのSkype買収(Enterprise Watch)
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/infostand/2005/09/26/6230.html

米Fortune誌は、eBayとSkypeの共通点に注目している。両社のサービスの本質はコミュニティのメンバー同士のやりとりであり、両社とも、これを容易にするという点で長けているという視点から分析している。“個人が貢献する経済”のメカニズムが機能する事業体を目指すeBayにとって、Skypeの買収は意味あるものだという。

引用部分の元ネタは、おそらく以下の記事かと。こちらでは、eBayがコミュニティサイトのCraigslistに出資していることも、この件に絡めて解説しています。

Why Skype? EBay's Still Thinking Big(FORTUNE)
http://www.fortune.com/fortune/fastforward/0,15704,1103966,00.html

しかし、最後の部分ではやっぱり「eBayのSkype買収額の高さは理解できない」という旨のことが書かれていますね。eBayはSkypeを今後どうするんでしょうか。

----

(おまけ2)
10月15日に開催されるEmerging Technology研究会では、eBayのSkype買収について議論されるそうです。

Emerging Technology研究会: 10月開催:eBayはSkypeをなぜ買収したのか?
http://sw.cocolog-nifty.com/et/2005/09/10ebayskype_8521.html

この研究会なら、eBayの実態(収益構造はSkypeに似ているのか?とか)に詳しい人が多そうです。僕は、この時期は本業が忙しくなる予定なので参加できそうにないのが残念です……。

[]

2004|06|07|09|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|09|10|11|
2009|01|02|03|04|05|07|08|10|
2010|01|03|
2015|03|
スパム対策のため、60日以上前の日記へのコメント及びトラックバックは管理者が確認後に表示します。
また、この日記に無関係と判断したコメント及びトラックバックは削除する可能性があります。ご了承ください。