2006/06/14
■[P2P]会社がプロバイダを強制する時代(になるかも)
少し前の話になりますが、愛知県警が職員に「私物PCにもファイル交換ソフトを入れない」という誓約書を書かせる*1という報道がありました。嫌な話ですけど、情報の管理体制を見直すという名目で個人の私的なインターネット利用に組織や会社が口を出す、こういう事例は今後どんどん増えていく気がしています。
で、この流れが更にエスカレートすると、そのうち「うちの職員は、全員Winnyの使えないプロバイダに加入させてるから安心だ」なんてアピールをする企業まで出てきてしまうんじゃないかと心配していたんですけど……。この悪い予感を後押しするような新サービスが、昨日ぷららネットワークスから発表されました。
ぷらら、Bフレッツ向けにWinny通信遮断機能を提供。解除設定も選択可能(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/06/13/12313.html
一般的には、Winny通信の遮断機能がON/OFF可能になったという話として取り上げられることが多いですが、僕が気になったのは記事の後半部分の方です。
ぷららと契約を行なった企業に所属する社員に対して、Winny通信を遮断する個人向けBフレッツ対応サービスを提供するネットワークスポンサー制度を9月下旬より開始する。
同制度は、契約企業がWinny通信の遮断するサービスに賛同する社員を募集して、提供していくもの。契約企業が接続料金の一部料金の負担額(5%から任意)を設定することで、所属社員は通常料金から割り引いた料金でサービスが利用できる。なお、同制度を利用した場合には社員側でWinny通信の遮断を解除することはできない。
自分の所属する企業が*2接続料を負担してくれる「ネットワークスポンサー制度」という新サービス。
これって一応、社員の賛同を得た上で利用できるサービスということになっていますが、もしも企業がこの「ネットワークスポンサー制度」を導入した場合、そこの社員に何の強制力も働かないとはちょっと考えにくいです。
会社側が直接的な圧力をかけることは普通無いとしても……例えば、「ネットワークスポンサー制度」に賛同してぷららに加入していれば、万が一情報漏洩した場合の罪が軽くなる、という社内制度とセットで運用されると、強制ではないですが強制力はありますよね。強制かどうかの線引きは、難しいところですけど。
これって、ある意味では特定プロトコルの遮断よりも危険な話だと思うのですが、どう思いますか? この新サービスも含めて、総務省はゴーサインを出したんでしょうか?
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その他関連記事:
ぷらら、Winnyによる通信の遮断を利用者自身で設定可能なサービスを提供(CNET Japan)
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20139547,00.htm
ぷららのWinny規制にGOサイン,総務省が五つの方向性を提示(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060613/240802/
【映像付き特別インタビュー】ぷららの弘灰 和憲氏「ユーザーの8割以上がWinny遮断を支持している」(ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060614/240821/
ぷららのWinny規制、仕様を変更してリリースへ(スラッシュドット ジャパン)
http://slashdot.jp/article.pl?sid=06/06/14/0130215
*1 「Winny使いません」と愛媛県警が全職員に誓約書(スラッシュドット ジャパン)
*2 Winnyトラフィックが減った分だけぷららが接続料を割り引いてくれる、というわけではなさそうです。
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