無印吉澤(※新エントリはhatenablogに掲載中)

吉澤です。このサイトではIPv6やP2Pなどの通信技術から、SNSやナレッジマネジメントなどの理論まで、広い意味での「ネットワーク」に関する話題を扱っていたのですが、はてなブログに引っ越しました
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2005/08/09

[P2P][VoIP]SIP関係者から見たP2P SIP

Is P2P SIP Poised to Out-Hype Skype?(Voxilla)
http://voxilla.com/voxstory170.html

8日8日のP2P today経由。 Xtenの共同設立者であり、Vocalscapeの設立者兼CEOであるEric Lagerway氏に、P2P SIPについてインタビューした記事です。XtenはSIPソフトフォンの開発会社で、VocalscapeはVoIP関係のソフトウェア開発とSIの会社のようです。要するに、SIP関係者から見たP2P SIP(とSIP関係者がP2P SIPをちゃんと見ていること)が分かる、という意味で参考になる記事でした。

Lagerway氏の主張のポイントを、簡単にまとめておきます。

  • オープンスタンダードによるメリット

    • オープンスタンダードなSIPを元にしたP2P SIPの方が、長い目で見ればSkypeのプロプライエタリなアプローチよりも影響力がある
    • Asterisk PBXのようなオープンソース開発モデルに頼れるため、Skypeよりも豊富な開発資源を投入できる

  • P2Pによるメリット

    • SIPの機能をネットワーク上に分散させることで、サーバを取り除くことができる
    • ピアが集まることで、自動アカウント作成、統合されたNAT/ファイアウォール越えが実現される
    • 無料通話を実現する試みは今までにもあったが(例:Free World DialupやSIPphone)、これを実現するためのコストが低くなる

  • Skypeにはないメリット

    • Skypeが使えない状況――例えば国連職員が砂漠の真ん中にいて電力しか使えない場合に、SIPネットワークやSkypeネットワークに繋がらなくても、P2P SIPといくつかの無線アクセスポイントがあればIPコミュニケーション可能である
    • または、最近のロンドン爆破テロや、911のようなテロによって通信インフラが分断された場合も同様のメリットがある

  • P2P SIPの展望

    • セキュリティの問題は、SIP関係のワーキンググループで解決されつつある(証明書ベースのphishing、spoofing対策、TLS、SRTP、S/MIMEなど)、P2P SIPモデルにこれらを組み込むのは大して苦にならない
    • P2P SIPの実装はすぐに見られる、と考えている。例えば、Xtenで使っているSIP FoundryのreSIProcateというSIPスタックをP2P-enableにするのに、数ヶ月以上はかからないだろう

やっぱりP2P SIPについて説得力のある理由付けは無いんだな、というのと、セキュリティの問題を軽視しすぎてないか、というのが個人的な感想です。

特に、僕としては、P2P SIPはDHTに実用的なセキュリティ機能を追加するという研究としてなら面白そうだと思っていたので、そこを軽視しているのはかなり意外でした。このあたりの疑念については、以前に書いた日記もご参考下さい。

また、Lagerway氏のblog「SIPthat.com」のコメント欄にも、上記とはまた違うアプローチでの反論がありましたので、興味のある方はそちらもどうぞ。

Voxilla's Interview with me on P2P VOIP(SIPthat.com - Erik's daily musings on VoIP and IP Communications)
http://sipthat.com/archives/000351.html

それと、同じblogでこの1つ前のエントリでは、CiscoのCurren Jennings氏へのインタビュー音声が公開されています。Jennings氏はP2P SIPのInternet Draftを執筆している方です。

Interview: Cullen Jennings - Adhoc P2P SIP Meeting at 63rd IETF(SIPthat.com - Erik's daily musings on VoIP and IP Communications)
http://sipthat.com/archives/000350.html

Some questions answered:
- What was this adhoc meeting on P2P SIP all about at the IETF?
- Do you think P2P SIP will have a profound affect on VoIP?
- How would P2P SIP compare to Skype's P2P model?
- Is it better or worse than Skype's model?
- Do you see P2P SIP replacing the SIP Proxy in traditional SIP networks?
- Will there be a P2P SIP Working Group in the IETF anytime soon?
- Where do we go from here?

トピックを見る分には面白い話をしてそうなんですけど、僕の英語力では全然聞き取れませんでした。_| ̄|○

誰か英語の得意な人がいましたら、どうか、このインタビューの要点を教えて下さい……。

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# ねごとと、たわごとと、もうそうと(別館)←仮称:[P2P] Interview: Cullen Jennings - Adhoc P2P SIP Meeting at 63rd IETF (2005/08/15 00:45)

[http://muziyoshiz.jp/20050809.html#p01:title=無印吉澤 - SIP関係者から見たP2P SIP] にて 「[http://sipthat.com/archives/000350.html:title=Interview: Cullen Jennings - Adhoc P2P SIP Meeting at 63rd IETF] の要約、誰かよろ〜」 とのことだったので、とりあえ..


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